年収1000万円超えの用務員は実在するのか?


用務員の仕事も謎が多いですが、収入もまた謎です。

一時期、公務員叩きが最盛期の頃、公営のバスの運転手や清掃作業員、用務員の給料が民間と比べ、いかに高いがクローズアップされました。

しかし、喉元過ぎればなんとやら、最近ではあまりネタとしても話題にも登らなくなってきました。

参照:「役人天国」健在! なぜ公務員の給料は高いのか?

もちろん、高給だったのは間違いではないが、それは過去の話です。

公務員の改革は進み、今ではご存知のように、学校用務員を含めた多くの現業系の公務員は削減の一途で退職者不補充、その多くが非正規職員へと転換されています。

結局、叩いた先にあったものは新規採用の抑制と業務の委託化。

本来なら定期的に行われていた学校用務員の採用試験。

今は一部を除き、もう殆どありません。

ここで、正規職員や非正規職員のあり方や、その良し悪しを問うつもりはありません。

しかし、単純に民間と比べ高給と叩く前に、何故そのような差があるのか、それを理解しようとせず、一時的なパフォーマンスに流された結果が、未来における自らや、そして自らの身内の採用のチャンスを潰したとも言えます。

その点を今一度考察したいと思います。


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年収1000万用務員の正体


年収1000万円の用務員が存在するかと言えば少数ながら存在しています。

と、言うよりも”存在していた”と言う方が正確でしょう。

より正確に言えば、用務員を含め、現業職出身の管理職等になります。

この辺は自治体の人事管理になるので一概には言えませんが、学校用務員等の現業職が年収1000万円を超えた時期は極短期間で、以下の要件の時期の人が殆どです。


  • バブル崩壊後からリーマンショックまでの間
  • 上記の時期に管理職であった人
  • 採用から30年程度の人


厚遇層がより目立った時期

公務員の給与は、景気動向の後追い型で動きます。

右肩上がり経済の場合、公務員の給料は、好景気と言われた翌年に調整されます。

より正確に言えば、年度末にも差額支給によって調整しますが、後追い型なため、バブル崩壊後もしばらくはプラス支給されていました。

肌感覚で言えば、公務員の給料にバブル崩壊の影響を与え出したのは、2001年頃のITバブル崩壊の頃に天井を突いた感じだと思います。

それまでの間、係長級や課長級などへの昇任した高齢層の給料は、それまでの公務員と比べても一気が上がった事があります。

また、学校用務員を含め、現業職にも係長や課長といった管理職に昇任できる制度がある自治体もあるため、係長級の用務員も存在したりした事も理由の一つです。

基本的に、退職前の給料が一番上がるのが終身雇用の仕組みの一つです。

終身雇用が崩壊が始まり、世間が不景気と嘆いていた時期に、たまたまバブル期の恩恵による賃金と、公務員の待遇が重なり、世間で叩かれる結果になったと思います。

公務員叩きが始まった頃、一見、高待遇に見えたとは思いますが、それでもバブル期の一般企業と比較しても、それ程に極端に高待遇ではなかったはずです。

バブル崩壊後の数年の民間企業について

私はバブル崩壊後に民間企業(一部上場企業)にいしましたが、それでも公務員の最盛期よりも高待遇でした。

在籍していた会社では、出張費を含めた交通費やタクシーチケット、宿泊料等を含め、月額100万円を超えない限り問題になりませんでした。中にはそれらの費用を節約し、自分用に使っている同僚も多く、当時はそのような形で社員に還元(会社の金で飲み食い?)することは暗黙に認められ、特に珍しくありませんでした。また忘年会や納涼会、運動会といった大きなイベントは家族同伴で無料で食事やビールも配られたものです。


福利厚生の向上は普通の時代

昔の会社の福利厚生をここで良かったと説明する意味はありませんが、終身雇用の会社が殆どの時代、社内の福利厚生を高めていったのは民間企業の方が間違いなく良かったです。

特に大手の企業グループは社員数のスケールメリットもあり、様々な面で社員に還元していました。

特に社宅の制度については、その最たるものと言えるかもしれません。

社宅が良い会社は、やはり待遇の良い会社である傾向は強いと思います。

話は逸れますが、私に就職相談をした学生には、良い会社を簡単に見分ける方法は独身寮だと言っています。しかし残念ながら、公務員の独身寮は廃止が多くなり、先行きは暗いとも言えます。今後、公務員は新卒者がなるものではなく、中途採用者が主体になりそうな予感です。


何れにせよ、バブル期までの終身雇用社会では、企業内の福利厚生の向上は、至って普通の感覚で行われていました。

当時はただださえ不人気な公務員でしたから、人材確保のためには微弱ながら民間企業に習い、後追いながら福利厚生を向上させていたのです。


まとめ


  • 年収1000万円(800~900万円)近い学校用務員が存在していた一時期(2000年前後)あったが、現在は既に退職し存在しない
  • その理由は、終身雇用制の仕組みによるものと、民間給与の影響が遅れて公務員に反映される事で、民間と比べ不相応な状態になったこと
  • 年収1000万円以上の学校用務員は管理職になった人
  • 公務員の待遇はバブル後にバブルになったが、その待遇もバブル期の民間と比較して必ずしも高待遇とは言えない水準
  • 現在、年収1000万円の学校用務員は存在しない(推測ながら例外もあり)



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